プロティノス『エネアデス』全54篇表題
プロティノスの著作は54篇残されているが、その著作の配列と校正は彼の生前にはなされなかった。その仕事を行ったのが、彼の弟子ポルピュリオスである。
ポルピュリオスは『プロティノス伝』においてプロティノスの著作を分類しているが、その分類は、プロティノスの著作を主題ごとにまとめるという形で行われた。
ポルピュリオスは次のように述べる。
「54篇あるプロティノスの著作を前にして、これを六つのエンネアス(九篇集)に区分した。六という数の完全性と、エンネアス(という数)とに、たまたま遭遇したのは嬉しいことであった。そして、それぞれのエンネアスごとに、関連する内容の著作を集成し、しかもその際、比較的容易な問題に第一順位を与えたのである」
それぞれのエンネアスは以下の主題が中心となっている。
- 第一エンネアス─比較的倫理的な著作
- 第二エンネアス─自然学的題材を集成したもので、世界(コスモス)についての著作、および世界に関連する問題を扱う著作
- 第三エンネアス─宇宙についての諸問題を対象として、宇宙に対する考察を取り扱う著作
- 第四エンネアス─魂についての著作
- 第五エンネアス─英知についての著作
- 第六エンネアス─その他の著作
各エンネアスにおける論文の表題は以下の通りである。なお括弧の数字は年代順の番号である。
<第一エンネアス>
- 生命あるものとは何か、そして人間とは何か(53)
- 徳について(19)
- 問答法について(20)
- 幸福について(46)
- 幸福は時間の長さに依存するか(36)
- 美について(1)
- 第一の善とその他の諸善について(54)
- 悪はどこから来たか(51)
- 理性的な自殺について(16)
- 世界について(40)
- (天の)円周運動について(14)
- 星は作用するか(52)
- 二つの素材について(12)
- 可能態と現実態について(25)
- 質と形相について(17)
- 通全融合について(37)
- なぜ遠くから見られたものは小さく見えるか(35)
- 世界創造者は悪者であり、世界は悪であると主張する人々に対して(33)
- 運命について(3)
- 神のはからいについて、第一篇(47)
- 神のはからいについて、第二篇(48)
- われわれに割り当てられた守護霊について(15)
- 愛(エロス)について(50)
- 非物体的なものの非受動性について(26)
- 永遠と時間について(45)
- 自然と観照と一者について(30)
- 雑考(13)
- 魂の本質について、第一篇(21)
- 魂の本質について、第二篇(4)
- 魂についての疑問、第一篇(27)
- 魂についての疑問、第二篇(28)
- 魂についての疑問、第三篇、あるいは視覚について(29)
- 感覚と記憶について(41)
- 魂の不死について(2)
- 魂の肉体への下降について(6)
- すべての魂が一つであるかどうか(8)
- 三つの始原的(原理的)存在について(10)
- 第一者の後の者たちの生成と順位について(11)
- 認識する存在と、そのかなたの者について(49)
- いかにして第一者から第一者の後の者たちが生じたか、および一なる者について(7)
- 英知対象は英知の外部には存在しないこと、および善なる者について(32)
- 有るもののかなたの者は思考しないこと(24)
- 個物にもイデアがあるか(18)
- 英知的な美について(31)
- 英知とイデアと有について(5)
- 有るものの類について、第一篇(42)
- 有るものの類について、第二篇(43)
- 有るものの類について、第三篇(44)
- 有るものは、同一のものが同時に全体としてあらゆる所に存在するということについて、第一篇(22)
- 有るものは、同一のものが同時に全体としてあらゆる所に存在するということについて、第二篇(23)
- 数について(34)
- いかにしてイデアの数が成立したか、および善なる者について(38)
- 一なる者の自由と意志について(39)
- 善なる者、あるいは一なる者について(9)
『プロティノス ポルピュリオス プロクロス』(世界の名著)、責任編集 田中美知太郎、中央公論社、東京、1980年。